十字軍

世界史の教科書の中にはエルサレムキリスト教徒か助けを求めている聖地エルサレムを奪還しよう。とローマ教皇が呼びかけたことから始まった、と記述されている。しかし、内実については触れられていない。

ある日、本屋で「アラブから見た十字軍」という本が目に止まり、購入した。ある日突然、「野蛮」な軍隊がやってきた。しがも略奪、破壊や虐殺の限りを尽くして。それまでのイスラム世界の中ではキリスト教徒も普通に暮らしていた。

ヨーロッパ人は自分たちが「文明人」である。という論理をよく使うが、実際、現在ある多くの用語にアラブの用語がある、例えば科学の世界の用語には多くのアラビア語を語源とする用語がたくさんある。「野蛮」「文明」という言葉があるが、どちらか「文明」であり「野蛮」であるのか、見直しをしなければいけないのではないか。と思った。

エルサレムを奪還したイスラム教徒の王サラディンキリスト教徒を迫害していない。教科書には「コーランか剣か」という文句が載っているが、実は「貢納か」という言葉が続いている。つまり、税を納めれば、信教の自由は守られていたのである。

そういう、逆転の発想についてはなかなか、教科書の叙述はかわるのが難しい。

その後社会科研究会経由で、教科書会社から検定前の白表紙本の校正や授業書の執筆をするようになって、その熱い壁にぶち当たることも度々あったが、その筋の権威の先生方を説得するのは難しかった。そういう意味で教科書の執筆陣の交代が急務であると感じた。