3ヶ月でマスターする世界史

4月から12回シリーズの「3ヶ月でマスターする世界史」というEテレの番組のダビングが終わりました。

教科書に載っているのは「西洋から見た歴史」です。それに対してこのシリーズは「アジアから見た世界史」です。私が大学一年の西洋史の時間にぶち壊されたのが「西洋から見た世界史」です。私が中学校、高校の歴史の教科書には「地理上の発見」という大項目でした。何かおかしくありませんか?もしアメリカ大陸が存在しなくて、太平洋を渡って日本まで到達したら、2本はどのような時代でしたか?1492年、まさに日本は1467年から始まる応仁の乱がやった終わって、各地で戦国大名が誕生している時代です。コロンブスは無事に帰ることができますか?

まず、コロンブスが「到達」したのは現在の西インド諸島です。

実際、太平洋を渡ってフィリピンに到達したマゼランは地元の王ラプラプと決闘して殺されています。マゼランは世界一周はしていません。マゼランを失った艦隊が世界一周を行ったのです。

大航海時代にはたくさんの誤解があります。大航海時代のキーは「銀」です。そこで世界有数の銀山である石見銀山世界遺産に認定されたのはそういう世界史的意義がそこにあります。そこが教科書に盛り込まれていますか?

 

私も大学時代に「アラブから見た十字軍」という本を読んでこのような視点で書いた世界史の本を書いてみたいなと思っていました。そこには「十字軍」という記載はありません。そこにあるのは「野蛮なフランク」です。平和に暮らしていたエルサレムに「野蛮なフランク」は「侵略・略奪」を行いました。そういう意味で世界史の中での見直しの必要性を感じていました。

先を越されました。

現役の教師時代に私は教科書に抗い続けていました。そのことが教え子たちに混乱をもたらしたこともあったかもしれません。しかし、こうして客観的に映像としてまとまってくると一般の人にもわかると思います。

まだまだ世界史の教科書は「西洋から見た世界史」のままです。早く私たちはこれを読み替える努力をしなければいけません。

この作業がこれからの私の課題にしたいと思います。

 

付け加えて考えなければいけないことがあると思います。

私が高等学校の非常勤講師をしているときに生徒たちは口をそろえて「正解」を求めました。これは教育上、大変な誤りだと思います。

一つの見方、考え方しか認めない。〇か×かしか頭にないのです。これは大学生や社会人になったときに必ず壁にぶつかります。なぜ生徒たちがそのような思考になったのか原因は教師にあると思います。つまり〇か×かしかないテストしか作れない。そういうテストでしか「評価」できない。さまざまな価値観や思考を認められない未熟な教師たちがそこにいるわけです。テスト処理を効率化するためにマークシートのテスト。記述式といいながら、単に歴史用語、人名など〇、×のつけやすい出題。

授業プリントで論述式の問いプリントを配布したところ書けないのです。とにかく「正解」は何ですか?と迫るだけでした。自分はこのように思うという意見の書ける生徒はほぼ見当たりませんでした。

私が現役の中学校教員時代に論述式のプリントに中学生たちはついてきました。授業段階で「問いかけ」から始まりました。一部の生徒には不評だったと聞いています。それは自分の頭で考えるという訓練ができていなかったためだと思います。

論述式問題を出すときに誤字・脱字はあまり気にしていませんでした。むしろ授業の本筋をどこまでとらえているかを見ていました。また、そこへ自分自身の意見を書き込めているかを見ていました。また、その意見の参考にした文献や資料を記入させました。

私のブログの誤字・脱字・変換ミスにこだわり「日本語になってない」とまでおっしゃっていた先輩がいらっしゃいました。確かに社会人としては誤字・脱字・変換ミスは許されないもんだと思います。そのへんは私の脇の甘さだと思います。反省しなければならないと思います。

しかし、これから伸びていく生徒たちにそこで芽を摘んでいいものでしょうか。

その生徒のどの発想が素晴らしいか、こんな見方をしていたんだ。

そういう面を発見することが教師の仕事ではないでしょうか。

教師自身にそういう訓練がなされていないことに課題を感じます。