大川島村古文書調査

近世史研究会の夏恒例の行事が栃木県大川島村の青木家文書の解読です。蔵を開けるといっぱいの文書が出てきます。それを一つ一つを解読していきます。

一年中、締められている蔵の中は大変な湿気です。

古文書を外に出して、虫干しします。古文書には「文虫」がついてます。正体はダニです。これがとにかく痒い。そして、虫干しが終わると、文書を元に戻し、一部分をお借りして、宿舎に持っていきます。そして、宿舎の大広間で痒さと闘いながら、古文書を読んでいきます。初めて見る古文書には虫食いの跡がいっぱいあります。そこも前後の文脈から推定して読みます。江戸時代の農村の文書は「御家流」に統一されています。ですから、虫に食われた部分も衰退できるのですが、そこまでになるためには、たくさんの古文書に触れることが大切です。あとは「古文書解読辞典」「漢和辞典」を使いながら、ワンセンテンスごとに読んでいきます。

私の専門の鎌倉時代もそうですが、古文書にはいくつかのフォーマットがあります。それが身についてくると、これはどのフォーマットのものなのか見えてくればしめたものです。見えない部分まで読めてしまう先輩がいましたが、そんな理由で読めるようになります。一日の作業が終わったら、銭湯に行って、よく体を洗わないと、朝まで文書虫に悩まされることになります。

一通り読めたら、青木家へ返却します。

 

栃木県だけでなく、もっといろいろな地域の文書を読んで慣れることが大切だと思います.

 

博物館や文書館などで原文書に触れることが大切です。また、各県史や大学の資料館の資料の読み込み。国会図書館での論文の検索。主要論文はきちんと読んでおくこと。自分勝手に解釈しないこと。

 

歴史小説だって池波正太郎などを読んでいると江戸のさまざまなグルメが出てきます。実際に行って味わってみましょう。

 

私の大学の卒業論文をみていただいた教授から確認されたのは「現地に行ったかな」ことだけてした。

 

退職後、横浜市歴史博物館てガイドボランティアをしているとき、城歩きをライフワークにされている先輩ガイドがいらっしゃっいました。城歩きは1000城までが一つの目安とおっしゃっていましたが、城歩きはどの季節でもいいわけでありません。夏は虫や蛇がいます。最近はマダニなど命の危険に関わります。

 

以上、受験参考書のレベルで授業なんかできないと思います。