正しい指導

非常勤で勤めた学校の最後の授業が終わって階段を駆け降り、体育館へいった。バドミントン部員の練習を見るためである。ストレッチ、シャトルランなど一応、やって、基礎打ち。どの生徒を見てもラケットの面を切って、肩だけの力で強引に相手のコートに返している。足も使えていない。練習予定を見ると毎週「コーチ」が来ている。いったい何を教えに来ているのだろう?確かに私は県中体連の役員として、当たり前のように打てる生徒たちを見てきてしまった。だからショックでした。これを治すのには一年以上はかかる。と見えました。高校生です。体格もいいし、吸収するだけの力はあると思います。この地区のレベルの問題はまずここから始まっているのだと思いました。例えば、ヘアピンですら切って入れようとします。試合をしてくれとせがまれました。試合をすれば上手くなると思っているのでしょうか?私の今の身体は試合は無理です.ネット前のヘアピンの指導だけした。利き足と膝、ラケット一直線になり、自分の目の前で相手のコートに「置く」ようにする。それだけのことです。しかし、そこを叩き込まなければ、ネット前での次のショットはありません。大切な基本です。見本を見せても、やらせてみないとわからないですね。ヘアピンをとってみてもそれだけの要素が必要なのです。なぜそこを飛ばして「試合」をしてしまうのか?

練習の最後に「回内」の見本を見せました。どうすればラケットの正しい面で打てるようになるか、大切な練習です。そして「手首の返し」たまたま職員室にハエが飛び回っていました。若い先生がピシッと叩いています。思わず、その「手首の返し」いいですね。と褒めてしまいました。何気なくできちゃう人にはできてしまうのです。ただその時目の前にいた生徒たちにはその感覚からわかってもらわないといけないと思いました。授業でも部活でも正しく基本動作を理解し、根気良く教え続けさせられる指導者が必要だと思いました。

たまたま私は若いうちにとても恵まれた思いをしたこと、そして、その時に勝てなかった経験が、その後、素材に恵まれなくてもなんとかできる指導のレベルに達したと思っています。もし、あの時勝ってしまっていたら、そこからなんとかしようという意欲は湧かなかったと思います。だからバドミントンの指導ももう一度チャンスはないかな、と思います。たぶん浜中当時から見れば数段上を行く指導ができると確信してます。そういう意味で埋もれさせたくないと思っています。アメリカへ行ってしまった小林先生からは「一から指導できる顧問がいない」と聞いています。すぐにジュニアに頼ってオーダー勝負。笑ってしまいます。ジュニア出身の生徒たちを次々と追い抜いていく快感はいいものです。逆にジュニア選手を預かっても私の練習について来れない例を見ました。

私がそういう指導に至る長い経過は書ききれないものがあります。書いてもわからない。感覚の世界ですから。

言えることは、まず足作り。そこからでふ。根気良く根気良く。焦らず、焦らず。最後の勝負は足にかかってきます。そこを見据えて。

そこから後は「秘密」です。