8月31日の呼び出し

バドミントン部の練習も軌道にのってきて、8月31日も体育館で練習をしていた。その年は授業数も多く、副担任だった。

しかし、1年生は13クラスあったので、一人では学年全体の社会科の授業の担当はできず、臨時採用の先生とコンビを組んでいた。

そして、8月31日。体育館で練習中、校長室に呼び出された。すると、校長から「明日から担任をしてくれ」という話が切り出された。担任の先生の一人が突然、「出家」されてしまったそうだ。

そのクラスは私が社会科を、担当してないクラスだった。まったく知らない生徒ばかり、クラスの後ろの壁には前担任の達筆な字で「不動心」と書いた模造紙が貼られていて、前担任の雰囲気がそのまま残っていた。前担任は生徒たちから信頼されていて、突然、今日から担任です。と現れた私に馴染もうとしない。すぐに保護者会が開かれたが、不安な声が次々出された。なにせ、生徒たちは私の授業を知らない。ただひたすら朝と帰りの学活、学活・道徳しか顔を出さない。しかも、クラスの中心になっていた女子生徒は私よりも背が高く、私は埋もれてしまう。やれることは学級通信を出し続けることだった。題名は「不定期便」だが毎日発行を続けた。

内容は他愛のないものばかりで、「もし、森でクマさんに出くわしてしまったら、どうする?」など2年生の自然教室を、意識したものになっていった。

次第に生徒との会話も始まったが、スムーズなものではなかった。学年の先生方もずっと心配顔だった。

とにかく、3学期の修了式の日「定期便」を発行することで、この難局を凌ぎおわった。

とにかく、「不定期便」は毎日発行され、