Shall we Danceとアジ釣り

初任校の寺尾中の4階に大きな集会室がありました。当時、一学年13クラスがびっしり入ります。不思議なのは天井の一番高いところに鍵があったこと。ある日、その正体が判明しました.この鍵にミラーボールがかけられて一気にそこは社交ダンス場になるのです。そして、いつも清楚な先生がスタップを踏んでるのです。壁に張り付いていると、手のひらがこちらへ伸びてきて、嫌も応もありません。ほとんど涙目でリードしていただきました。そして、タクシーが呼ばれて、若手は連れ去られます。着いたところは元町の「クラブサイド」横浜でも最高級のダンスホールです。いつも体操服の体育科の先生がドレス姿です。私たちはただひたすら壁に張り付いていました。目があったら大変です。だけどフルバンドの素敵な演奏はリズムを刻みたくなってしまいます。とにかく恐怖の時間は終わりました。全体を仕切っていた英語科の超ベテランの非常勤の先生が万札をポンと渡してお釣りはいらないよ、と言ってそれぞれ家へ帰りました。

その中に社会科の先輩の先生の一人に教務担当の先生がいつもは怖い顔をしているのですが、ある日ニコニコと私のところへ来て、これから釣りに行くよ。否応もなく連れて行かれて先が今はなきマリンパークの駐車場。そこに車を止めて、崖を降りて釣具屋さんがあって一艘の船に乗り込んで油壺湾を出発。私はそこがどのポイントかわからないまま、竿を垂れました。餌は生き餌でなく、コマセでしたので簡単に詰めました。しばらくすると、ささやかなアタリです。静かにあげないと、アジは口がすぐ取れてバレてしまいます。慎重に慎重に吊り上げると可愛いアジが釣れました。思ったより獲れたところで包丁とまな板が出てきて獲ったばかりのアジを叩いてくれました。まさに至福の時間。持って行ったクーラーボックスがいっぱいになたところで切り上げて学校へ戻りました。当時は用務員さんがいて、ちょうど夕食を作っているタイミングだったのでクーラーボックスの中のいろいろな種類の魚を渡すと、ぶつ切りにされて、鍋に入れられてました.

味を占めた私もクーラーボックスを購入。再度アジ釣りに出かけました。今度は少し大きな船でいろいろなお客が乗り込んでいました。みなさん手慣れた方ばかりでした。しかも今度の釣り方は「菱」。四角い木枠に糸が巻いてあって、そこから出ている糸を垂らすのですが、音の先に指で糸の感触を確かめます。アジの繊細なアタリを指先で感じてうまくタイミングを取って引き揚げます。それこそ、繊細な釣りに目覚め始めた時、とんでもない奴が姿を現しました.サメです。コマセの匂いで寄って来たようです。それがすぐハリに噛みついて、糸をブンブンと振り回すのです。これではアジの繊細なアタリがわからなくなり、サメが上がってきてもアンモニア臭くて食用にならないシロモノです。場所を変えてもサメはついてきました。1日ボーっとして繊細な感覚を楽しみたいならおすすめです。