どうしてこんなことをしてしまったのだろう

純子と由佳だけでも普通の顧問は精一杯だと思います。私も同じです。なぜ同じ学年で男子も女子もあれだけの才能を持った生徒が集まってしまったことは、周りから見れば羨ましいことなのでしょうが、私にとってはもう限界でした。

特に航太、Sさん、、Kさんの才能は非常に高いだけでなく、自分たちの才能を活かしてくれる顧問に飢えていたと思います。そういう意味では私の練習を理解するには彼らは先走ってしまってました。なんで自分たちの顧問はこの程度なんだろう。例えば神奈川オープンでもいち早く千葉の旭中のプレーを見て、自分たちもこうなりたい。という思いでいっぱいだったし、明子が出場した関東大会を彼らは1年生で見ています。その時、たぶん埼玉栄の監督のノックを見にしていると思います。たぶんそれを見れば、私への不満が出てきてもおかしくないと思います。

しかし、私には基本の繰り返ししかできません。女子に比べて、男子はもの足りない状態だったと思います。そして、女子と比べて幼い面があったと思います。だから次第に横道にそれる方向に向かってしまったと思います。正直、これが平木先生や宇佐美先生ならもっと引っ張って行けたかもしれません。

本当にすごい吸収力でした。夏合宿で尾瀬に行った時、最終日に行った男女混合の紅白戦。シングルスは1年生のYさんと、好美でした。まだラケットを握ってまもないyさんは市大会優勝、県大会ベスト4の好美に互角の試合をして見せました。航太は冬のオープン戦でジュニアで全国クラスの選手と互角にわたりあいました。Sさんは体格は小さいですが、そのバドミントンセンスは高く、ある場面で由佳がそばにいる時、Sさんの配球を、私は一つも指導していないのにも関わらず、次はここ、次はここと、説明した通りに配球をしていました。隣で見ていた由佳にこれできる?と聞くと由佳でさえも「できません」と即答させたほどです。相手のコートがそれだけよく見えていました。

女子にはたとえ勝っても、勝ち方が気に入らない、などと指導していましたが、もしかすると男子には違うアプローチがあったかもしれません。

そういう形で男子たちも私もフラストレーションが溜まっていきました。

そんなある日のことです。学校の目の前にあるお店でお菓子を買ってるところに出くわしてしまいました。もっと違う指導があったと思います。しかし、私は彼らを平手打ちしてしまいました。その結果、Sさんの鼓膜を破ってしまったのです。それは彼にとっては、その後プールに入れないなどさまざまな形で彼を傷つけることになってしまいました。

さらに問題を深くしてしまったのは、私はSさんの両親との間で意思がすれ違ったしまいました。

校長、副校長、そして生徒指導専任の伊藤先生が一生懸命動いてくれていましたが、どうしても先が見えないのです。

私の心の中はモヤモヤし続けました。もうすぐそこまで大道中が追いついてきています。そして、大道中との練習試合の最中、Yさんの試合を目の前に、わたしはYさんの試合に向かう姿勢に納得できなくなってしまっていました。そこで普通に注意すればなんでもなかったはずてす。しかし、私のとった行動はパソコンを閉じて、職員室に行ってしまいました。

後戻りができなくなってしまったのです。

それから彼らは内田先生に預けたままになってしまいました。

夏の県大会。航太とSさんの試合の時、内田先生が見てあげてくれ、と強くうながされて、カートサイドに行きました。一進一退の接戦でした。しかし、相手の執念が優ってしまいました。

それからクラスの航太は顔を合わせますが、他のメンバーとは顔を合わせることがありませんでした。

 

その後、航太の息子さんが平木先生が浜中に転任してきた際、「父がお世話になりました」と挨拶したと、聞きました。

 

Sさんもバドミントン関係の仕事に就いたとききました。しかし、あの、3年間で本当にバドミントンを、好きになってくれたのか、私にはわかりません。

 

どれだけ彼らを傷つけてしまったか。どう償えばいいのでしょう。

 

私はSさんの件で教育委員会から懲戒処分になりました。再就職をしなくてはならなくなって北部事務所へ書類を持っていきました。しかし、さいごに懲戒処分の件を、念押しされ、委員会からはその後、連絡がありません。